「……先生、お願い」
桜井さんは鼻をすすりながら小さな声を出した。
「お願いだから、うちの親には言わないで」
黙って聞いていた先生が、
「それは、できません」
とゆっくりと言った。
絶望的な表情を浮かべた桜井さんが「一生恨んでやるんだから」と呟いた言葉が、私の胸の奥に沈んでいく。
呪いの言葉そのものだと思った。
それから。
私は学校に登校できなくなってしまった。
教室も、保健室も、学校のどこだって、私にとっては恐怖の場所になった。
制服に袖を通すと、あの顔を思い出す。
怖くて、悲しい顔。
そのたびに胃がキリキリ痛んだ。



