メリーゴーランドは空席

「そうだったんだ」
私は何でもないふうに静かに返事した。

幸人くんの中で中学生の時のあの事件は、私にはわからないくらいの苦しみや悲しみがあったんだと思う。
高校生になって同じようなことが起きるかもしれないと思うと、きっとすごく不安だったんだろうな。


「でも今なら、大丈夫な気がしてるんだ」
幸人くんは微笑んだ。
「文化祭の日、金髪にしようかなって思ってるんだ」

「いいと思う!」
私も微笑む。
「また金髪の幸人くんに会えること、楽しみにしてるね」

「ま、多分先生には怒られるからすぐにまた落ち着いた色にするけど」
「うちの高校、わりと自由だけど……、さすがに金髪の人は見ないもんね」
「生徒指導室とかに呼ばれるのかな」
幸人くんはいたずらっ子みたいに笑った。