メリーゴーランドは空席

「……なんか、石森くんって本当に面白いね」
私は誰に言うでもなく、呟いた。
「マジで良い奴なのは確かだな」
幸人くんはそう言ってから、
「でもあんまり男を褒めないように!」
とそっぽを向いた。

「え?」
私は何のことかわからず、キョトンとする。
「……べつに」
幸人くんはそれ以上は言わなかった。

駅の外に出るとさっき言ってくれていたとおり、幸人くんは私を家まで送ってくれるつもりで、私と同じ方向に歩き出した。
歩幅が無意識に狭くなりそう。
ゆっくり歩いて、もっとふたりでいたいんだ。

「まだ顔色悪いね、つらい?」
心配そうにしている幸人くんに、
「大丈夫だよ!元気になった!」
と笑う。
幸人くんは短く「そっか」と笑った。