メリーゴーランドは空席

「あれ?石森じゃん」
幸人くんも気づいた。
ふたりで石森くんに近寄る。

石森くんはイヤホンをしていて、音楽を聴いているようだった。
肩にポンッと手を置き、
「ヨッ」
と幸人くんが声をかける。

石森くんは幸人くんの顔を見て、イヤホンをはずした。
「今、帰り?あ、越野さんも。体調、大丈夫なの?」
「ありがとう。今日は衣装係の作業をお休みさせてもらったけれど、大丈夫だよ」
私が答えると、
「オレが無理やり休ませた」
と幸人くんが片手を上げて、まるで白状しているみたいに言った。

「横峯は過保護だから」
石森くんはのんびりした口調でそう言って、
「でもいつも頑張っているし、いいんじゃん?明日からまたみんなと頑張りなよ」
とニコッと笑ってくれた。