メリーゴーランドは空席

「あ、嫌だった?」
桃川さんが慌てた。
「ううん!!嬉しい!!」
自分でも意外なくらい、大きな声が出た。
「じゃあ、私も名前で呼ぼう」
三木さんもそう言って、笑ってくれる。

「葵ちゃん、意外と鈍感そうだよね」
桃川さんが話を戻す。
「鈍感……、かな?」
自分ではわからない。
「いやー、葵ちゃんに恋心がなくても、あっちは完全に恋してると思うよ」
三木さんは自分の言葉にうなずきながら、衣装を縫う手も休めない。

「知ってる?スクールバックのストラップ。横峯と葵ちゃん、お揃いのやつ付けてるんだよ」
桃川さんが三木さんに話しかける。
「あ、……それは」
私は顔が赤くなってきた。
「知ってる!可愛いよね、あれ。ってか、あれ見て付き合ってるのかと思ってたもん」
三木さんも桃川さんを見て、ニコニコ笑う。