秋の気配が近づいてきた、10月の中旬。
文化祭の準備をはじめるようになった。

私は小谷さんと安堂さんに誘われて衣装係に入った。
衣装係はお化け屋敷にいる、お化け達の衣装を作ったり、予算内であれば買ってきてもいいらしい。
話し合った結果、出来るだけ手作りすることとなり、昼休みや放課後になると衣装係のみんなで集まってお裁縫をしている。

今日も机をくっつけて衣装係のみんなで昼休みを過ごしている。
「葵ちゃん、何それ。下手~!」
安堂さんが私の縫った白い雑巾の縫い目を見て笑っている。
「え……、やっぱり!」
「ガッタガタの縫い目じゃん、ウケる」
ケラケラ笑う安堂さんに、私もつられて笑ってしまう。

「葵ちゃんって家庭科苦手?」
小谷さんも私の縫った雑巾を見て聞いてくる。