メリーゴーランドは空席

「たこ焼き、いいね!」
商店街を抜けて坂道になった。
この坂を上ったら神社がある。

坂道にも出店があり、ベビーカステラやたい焼きなどの甘くて柔らかい匂いが鼻をくすぐる。
「葵、足大丈夫?」
下駄を履いているので、幸人くんが心配そうに聞いてくれる。
私は気づいていた。
さっきから幸人くんがゆっくり歩いてくれていること。
「大丈夫、ありがとう」
幸人くんの優しさに心からお礼を言った。

神社に着いた。
たくさん人がいる。
幸人くんのあとについて、お参りする。

願い事はいくつか浮かんだけれど、
『平穏に過ごせますように』
と神様に願った。

「なんか熱心に拝んでたな」
幸人くんが茶化すように言ったけれど、笑って誤魔化した。