メリーゴーランドは空席

プールの真ん中あたりに噴水があり、その周りに座れるスペースがある。
「あそこまで行く?」
幸人くんの言葉にうなずきプールの中を歩き出すと、途中で急に深くなり、身長の低い私では足が届かなくなってしまった。
「幸人くん、無理!」
私は慌てて足が届くエリアに留まり、幸人くんに伝えた。
幸人くんは振り返り、
「オッケー、わかった。おいで」
と言って私に向けて両手を広げた。
何のことかわからず戸惑ってしまう。


幸人くんは私に近寄り、ヒョイッと私を抱きかかえた。


「ゆ、幸人くん!?」
驚いて声が裏返ってしまう。


「うわっ、暴れんなって!」
幸人くんが腕の力を強める。
「暴れたら落ちるぞ、葵」