メリーゴーランドは空席

「大丈夫だよ、ありがとう」
私はそう言って頭を下げた。
「ちょっと遅刻した、ごめん」
幸人くんを見ると、首元で汗が光っている。
ちょっと肩で息をしているから、走ってきてくれたのかもしれない。

「ん?」
私の視線に気付いた幸人くんが、
「何?なんかついてる?」
と自分を見下ろしたりしてキョロキョロした。

何か誤魔化さないといけない気がして、
「ピアス!」
と言ったら、
「あぁ、今日わりと目立つデザインをつけてきたんだ」
と幸人くんが左耳を触った。
キラキラ輝くシルバーのピアス。
幸人くんにとても似合っているなぁと思った。

「葵も」
と言って、今度は幸人くんが私を見る。
くすぐったい気持ちになり、
「何?」
と聞いたら、
「今日、可愛い」
と幸人くんが言った。