「わからない……」
放課後の教室。
私は数学の教科書とにらめっこしている。


今日は朝から雨が降っていて、なんとなくジメジメと暗い。


「ごめん、オレもあんまりわかんない」
幸人くんもさっきから教科書を見つめている。


「期末テスト、怖い」
私にとって、高校ではじめて受ける定期テストになる。
不登校の時にあまり勉強をしていなかったことを、今更ながらに後悔している。

学校にきて思い知った。
授業のスピードが速い。
どんどん進む授業に、私は完全に置いてきぼりだった。
どの教科も私個人のことなんて待っていてくれない。


「現国は、まぁ、頑張れそうだけど……、数学とか化学がなぁー……」
情けない声を出しながら、私は数学の復習をしている。