メリーゴーランドは空席

「大丈夫!?」
「大丈夫……、ちょっと気分が悪いだけで」

「熱中症かな!?誰か、先生ー!」
小谷さんが私のおでこに手を当てる。

橘先生が駆けつけてくれた。
「おいおーい、越野さん!!これ、脇とか首とか冷やそう!!」
グラウウンドの真ん中で私を囲んで円が出来る。

「救急車、呼びますか?」
他の先生が橘先生に声をかけた。
「大丈夫、です……」
私は小さな声で言う。

「ちょっと目が回っただけです、熱中症じゃない……」


「とにかく保健室に!」
若い女の先生がキリッとした声を出す。
「名前、言える?」

「越野葵です。1年4組の、越野葵です」
女の先生をまっすぐ見て言う。
「ごめんなさい。大丈夫です。大丈夫だから……」