メリーゴーランドは空席

幸人くんの走る番がきたらしい。

頑張れー!

心の中でエールを送る。


「越野さん?」
呼ばれてビクッとしてしまう。
振り返ると、橘先生が教室に入ってきていた。

「……あ、はい」
とりあえず返事をする。
「綱引きだっけ?もう終わったんですかー?」
「はい。1度だけ練習試合みたいなものをして、終わりました」
「あはははっ、そっかー。でも1度って!!」
橘先生は高らかに笑ってから、急に真顔になり、
「あ。先生は決して練習をサボっているわけではないので。あしからず」
と言った。

「え?」
私はポカンとした表情になっていたと思う。
「先生は、今は見回りー」
橘先生は窓際まで近づいてきて、
「おぉ、若人は元気ですなぁー」
とグラウンドを見た。