メリーゴーランドは空席

「……何も、何もしてない」
のどの奥から絞り出した声は、やっぱり震えている。


「は?そんなわけないじゃん!なんで田島くんがあんたなんかの腕、掴んでたのよ!」
「それは……」



「まさかあんた、田島くんのこと好きなわけ?」


「ちがっ……!」
「じゃあ何してたか言えるでしょ!」




「田島くんに……、言われた」
私は恐怖を感じ、目に涙がこみあげてきた。
「損はさせないから、付き合おうって……」




その時、一瞬の間があった。
その瞬間に桜井さんの怒りが頂点に達したことが、彼女の深い眉間のしわで分かった。

「何?何言ってんの?」
桜井さんは両手で私の肩を掴む。


「冗談はやめてよ、あんたどうかしちゃったんじゃない?」