幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。

引っ張られた先にあったのは洋館だった。

ここは吸血鬼の館と言われていて、たまに授業で来ることがある。

でも普段は立ち入り禁止だったような………。

そんな心配をしている私をよそに玲音は大きな扉を開けた。

「入るよ」

言われるがままに入ってしまったが、本当にいいのだろうか。

玲音はその重たい扉を閉め鍵をかけた。

「れ、玲音?」

「俺が何したいか分かる?」

「分かんない…………」

「だよな。ま、ついてきて」

玲音は階段を上り、部屋に入っていった。

部屋にはベッドと小さな椅子二つとテーブルがあった。

まさか………とは思うがここで血を吸うのではないだろうか。

玲音は椅子に座り、私の方を向いた。

「………言いたいことがあるんだろ?」

なんと、玲音にはバレていたようだ。

「なんでそれを………」

「血だよ。りりの感情で味が変わるんだ」

そうなんだ。

「そっか、バレちゃうんだね。………私、玲音に遠慮しないで吸って欲しいの」

「……………そんなこと言われたら押さえられなくなる」

え?

「じゃ、遠慮なくいくからな」

その瞬間、玲音が私の首もとに噛みついた。