幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。

麗華を中庭のベンチに座らせ、俺は生徒会室に行こうとした。

すると麗華に袖を掴まれた。

「行かないで」

「ごめん」

俺は麗華の手を振り払い、生徒会室へ急いだ。

「なんなのよ。全然ものに出来ないじゃない。やっぱりあの女、邪魔ね」

背筋がゾクッとした。

りりが心配で心配で仕方ない。

「りり!」

「玲音?」

りりは生徒会長とお茶をしていた。

俺のこと、忘れてたのか?

「あ、ごめん!つい楽しくて」

生徒会長はニコニコ笑っている。

「すみません。入井さんの大事なお姫様をお借りしてしまって」

どうやらりりが好きってことがバレているらしい。

「次はやめてくれよな」

「気をつけます」

「ちょっと玲音!会長にその言い方はないでしょう?」

「いいんですよ。僕が悪いので」

この全てを見透かすような笑顔、好きになれねぇな。

「帰るぞ」

「え、あ、うん」

りりの手を取り、歩き出した。