「もしかして、二人……付き合ってる?」

「付き合ってない」

冴月くんは否定したけど、魁李は何も言わなかった。

「うん」

それを見かねて変だと思ったのか、冴月くんは魁李を見た。

「どうした?」

「なんでもない」

魁李は笑顔だったけど、これは作り笑顔だ。

「無理して笑うなよ。魁李の自然な笑顔、俺は好きだよ」

冴月くんの一人称って俺なんだ。

それに……好きとか言うんだ。

「冴月って本当に鈍感だよね。私が冴月のこと、好きだって気づかないなんて」

え?

魁李、それ告白じゃ………。

「バカだな。俺はずっと魁李のこと好きだって。俺たち、いとこだろ?」

ああ。

まるで分かってない。

魁李も大変だな。

「………いとこの好きなんかじゃないよ」

「え?」

「ううん、なんでもない。じゃあ、私たち行くね!」

「うん」

魁李は明るい声で話してるけど、心は暗いはずだ。