幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。

「りり、今日はどこ行く?」

玲音は楽しそうに話しかけてきた。

玲音の顔が見れないし、昨日のことがぐるぐる回っていて泣きそうだった。

玲音に言いたいけど、言えない。

これを言ったら軽蔑されるだろうな。

なにより、別れを切り出されるかもしれない。

怖くて何も言えなかった。

「………りり、どうかした?」

玲音には何でも分かるようだ。

「ごめんね…………私」

それ以上言えなかった。

唇が凍ったように動かなくて、話せなかった。

「何かあったの?」

「大雅くんとキスしちゃった………」

「は?」