幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。

蓮常寺くんは心配そうな顔して私の腕を掴んでいた。

「どうしたの?」

「離してください」

「何があったか話してくれるまで離さない」

身を守るためにも仕方ないか。

「………分かりました話します」

蓮常寺くんと中庭のベンチに座った。

「どうせ玲音と麗華絡みでしょ」

この人、エスパーか。

「何で分かったんですか?」

「俺もそうだからさ……」

もしかして、蓮常寺くんって麗華さんのことが好きなの?

「俺は麗華のことが好きなんだよね」

やっぱり。

「でもあいつは玲音のことが大好きで自分磨きを頑張ってるんだ」

そこまでして………。

「俺のことは雑に扱うくせに玲音の前だと目が分かりやすいほどハートになるんだよ。くそムカつく。俺のこと、少しは意識して欲しいのに」

蓮常寺くんってチャラそうだけど、本当は好きな人だけを一途に思ってるんだね。

「さっき、見たんだ。玲音と麗華が抱き合ってるのを」

「私も見ました!」

蓮常寺くんも見たのか。

「あれにめっちゃ腹が立った」

「同じくです!」

そこからは意気投合して玲音と麗華さんのことを言いたい放題言っていた。