幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。

一番最初に話し始めたのは玲音のお父さんだった。

「りりちゃん。玲音と一緒に住んでくれないか」

は?

いきなりとんでもないことを言い出したので驚いた。

そうか、これが了解の一部だったのか。

玲音のお母さんは補足で説明をしてくれた。

「玲音から聞いたでしょ?自制が利かなくなってきてること」

「はい」

「血の量が圧倒的に足りてないのよ。それで一緒に暮らして、いつでも血を摂取出来る環境にして欲しいの」

「でも、何で今なんですか?」

「それはね、思春期に入ったからよ。思春期は吸血鬼にとって大きな成長の時期なの。その時期は血が不足しがちなのよ」

そうなんだ。

「いいかしら?」

私は躊躇った。

だって、玲音と住むんでしょ?

思春期真っ盛りの男女だよ?

いいの?

一緒に暮らすとか問題だらけじゃん。

「玲音くんを守れるのはあなただけなのよ」

お母さんがそう言った。

いつもは凛としているのに今日は寂しげだった。

「……分かった。玲音と住む」

その途端、玲音が笑顔になった。

ん?

ちょっと待って。

住むってどこに?