「僕、カフェに行ったことないのに、初めてが男って嫌だなぁ」

りりとでも来るつもりだったのかよ。

「で、話ってりりさんのこと?」

「それ以外、お前と話すことはない」

「僕も同じだ」

俺たちは適当にドリンクを頼んだ。

「お前はりりのどこに惚れたんだ?」

「僕はりりさんの優しさに惚れたんだ。そういう君はどうなんだ?」

「俺は………気づいたら好きだった」

舐めた時に好きになったとか言ったらこいつどんな反応するんだろう。

「君さ、人間じゃないよね?」

「よく分かるな、お前。そうだよ、俺は人間じゃない」

すると五鬼継は鞄から御札を出し、俺の額に貼った。

「何すんだよっ!」

俺の言葉は完全無視で念仏を唱え始めた。

「…………君、吸血鬼だな」

何で分かるんだよ。

「何っ!?………りりさんの血を吸ってるだと」

そうか、この御札には俺の記憶の再生能力があるんだ。

俺は御札を剥がした。