花はいつなんどきも美しく

「……おばさん……」


ほほう。
喧嘩売ってるのかな?


「こんな枯れた人より、私のほうが……」


彼女はそこまで言って、顔を青くした。


悠之介が、彼女を睨みつけていたのだ。


「ご、ごめんなさい……」


彼女が謝ると、悠之介の表情が元に戻った。


「いいのよ。確かに千夏さんのほうが若いし、そう思うのも無理ないわ」
「それ、私のセリフだろ」


すかさず言うと、悠之介は笑って誤魔化した。


……いや、許さないからな。
こういうときだけ大人扱いとか。


「これは自論だけど……女性って、花みたいだと思うの。蕾から咲き誇るまで、すべてが美しい」
「でも、花は枯れたら終わり、ですよね」


その通りだ。
美しいのは一瞬だけとでも言う気か。


「ドライフラワーって知ってる?」


その単語でようやく、言いたいことがわかった。


「花はいつだって美しい。女性も同じ。いつでも綺麗で。加えて、聡美ちゃんはかっこいいのよ」


こうストレートに褒められると、照れる。


「聞き飽きた褒め言葉って言いたいが、今だと普通に惚気にしか聞こえねえな」
「真司さん!」


園田雪が子犬のように出口に行った。


昨日の今日で店に来るとは思っていなかったから、私は固まってしまった。


「バカップルは見たくなかったが……ママの料理食べないと、一日が終わった気がしないんでね」


まったく、どれだけ通ってんだか。


「ママ、いつもの」


悠之介は今までで一番の笑顔を見せる。


「任せて」


どこにでもあるような、居酒屋でのひととき。


少しだけ人間関係を変えて、今日も笑い声で溢れている。