「俺の好きな人は、聡美ちゃんだよ」


急な告白に、開いた口が塞がらない。


そんな私を見て、悠之介は笑う。


「嘘、だ」


信じられなくて、可愛くない反応をしてしまう。


「本当だよ」


悠之介は優しく微笑む。


「だって、え、なんで……」


わかりやすく混乱していた。


どうして素直に嬉しいと言えないのだろう。
好きな人が、好きだと言ってくれるなんて奇跡に近くて、幸せなはず、なのに。


「……悠之介、俺って言うんだね」


もう、私は考えることを放棄した。


「え、そこ?」


悠之介も呆れている。


「悠之介の一人称、初めて聞いた」
「……わかりやすく話題を変えるのはやめようか、聡美ちゃん」


私は頬を膨らますが、また子供扱いされると思って、すぐにやめた。
変わりに、悠之介から視線を逸らす。


「聡美ちゃんは、俺のこと嫌い?」


それのせいで、悠之介は私が悠之介を嫌っていると思ったらしい。


嫌いなわけ、ない。
好きだ。


今まで好きだと思ってきたどの人よりも、悠之介のことが一番好きだ。


私は首を横に振って答える。


「だったら」


悠之介の言葉の続きを待たず、俯いた。


自信がないのだ。
悠之介の恋人になる自信が、私にはない。