花はいつなんどきも美しく

出かける気分じゃなくても時間が迫ってきていたから、身支度を整えて出社する。


無心で仕事をこなし、昼休みになると休憩所で机に突っ伏して寝たフリをする。


昨日、悠之介にキスをしたのは、悠之介に子供扱いされるのが気に入らなかったから。


それから、よくわからない独占欲のようなものを忘れたくて、お酒も飲みすぎた。
そのせいで、真司に家まで運んでもらい、隣同士で寝ていた、と。


そして今朝は真司に襲われ、気持ちを知った。


その気持ちがまたややこしい方向に持って行って……
いや、違うか。
今までずっと気付かないでいた、私が悪い。


悠之介に惹かれてるのはたしかで、でも、真司のことが気にならないわけでもない。


こんなに自分の気持ちが揺れ動いてることが、信じられない。
なにより、きっかけが不純すぎてありえない。


「さっきから寝たまま百面相してるけど、頭大丈夫?」


隣の椅子に座り、相変わらずの毒舌で声をかけて来た愛子。
心配してくれるなら、もう少し優しい言葉で心配してほしかった。


寝たフリだとバレてるとわかっていて、突っ伏しておく必要もなく、ゆっくりと体を起こす。


「悩みごとがあるなら聞いてあげるよ?」
「そしてそのまま笑い飛ばすでしょ」
「内容によるね」


やっぱり、と思った。
内容に関係なく、真剣に聞いてほしいものだ。