私はダンスに誘われない


「河岸さん!!」
呼ばれて振り向くと、中田くんが走ってくる。
「河岸さん、待って!!」

私は困惑してしまった。


人気者の中田くんが私なんかに何の用!?

何かしたっけ!?
この人を怒らせる何かを私、したっけ!?



「河岸さん」

私は思わず目をギュッと閉じて、うつむいてしまう。




「河岸さん、オレと付き合ってほしいんだ!!」





ーーえっ。





私は中田くんの顔を見上げた。


「好きなんだ、河岸さんのこと」





その瞬間、あの日のことを思い出してしまった。『河岸のこと好きだよ』




思わずゾッとしてしまう。
辺りをキョロキョロとうかがう私に、少し赤面顔の中田くんが、
「え?何、どうしたの?」
と不思議そうに聞いてくる。