私はダンスに誘われない

私は田村さんの怖い顔を見たくなくて、両手で顔を覆ってしまう。



怖い。
怖い。



でも。


中田くんのあの日の言葉を思い出す。

『好きなんだ、河岸さんのこと』


まっすぐな言葉で伝えてくれた。




「きっと航大くん、あんたで遊んでいるんだよ」
田村さんは意地悪な声で言う。
「ゲームか何かで賭けでもしているのかもよ!?」


中田くんはいつだって優しくて。


『大丈夫。河岸さんのこと、みんな好きになるよ』



前を向かせてくれたから。



私は顔を覆っていた手を下げ、田村さんをまっすぐに見つめた。
「な、何よ」
田村さんは少しひるんだ。
「中田くんはそんなことしない。そんな人じゃない」