私はダンスに誘われない

中田くんは何か言いかけてやめ、うつむいた。
「……ごめん」
その場にしゃがみこんだ中田くん。
かろうじて見える耳が赤くなっている。

「オレ、河岸さんと話したくて。でも急に……照れてきたっていうか……」
最後のほうは消えそうな声だった。


私の胸の奥がきゅううんとしてしまう。


……なんだか、中田くんが可愛い……。


私の頬がまた赤く染まっているのを感じたけれど、私は構わずニッコリ笑って言う。
「……昨日、名前を覚えていてくれて本当に嬉しかったんです」
クラスに馴染めずひとりでいる私のことを、知ってくれている人がいた。
「誰かに少しでも気にとめてもらえていたんだって思えて」
私の言葉に中田くんが顔を上げた。