ーーおとぎ話のような恋に憧れていたけれど、
私は恋の舞台には立てない。
「うわぁっ!?」
放課後。
高校の廊下で女の子の声が響く。
私、河岸 朝日の目の前で何冊もノートがあちこちにばらまかれている。
「もう!」
女の子は苛立ちながらノートを拾いだす。
その時私は、その女の子が私と同じ1年6組の香川さんだと気づいた。
「手伝います」
私もノートを拾い集めはじめた。
「えっ、あ、どうも……」
香川さんにノートの束を渡す。
「えっと、同クラだよね?助かったよぅ、えっと……」
私の名前がわからないらしいので、
「私は……」
と名乗ろうとした、その時だった。