うん、上出来。

味はユウタさんの手料理だから保証できるし、さっそく綺麗に切り分けてラッピングしようと考えていると・・・。


「あー、抜け駆けなんて狡いっ!」


「早い者勝ちだね」


「苺全部食べてやるぅ」


拗ねてふてくされた牛込さんが、手を伸ばす。

その先にあったのはーーウサギのクッションだ。

ウサギのクッションをぎゅうっと抱きしめて、牛込さんは大きなため息をついた。


「ねえウサギさん、慰めて・・・?」


・・・うわっ、シュールな光景・・・。


「なに、この変なウサギ」


ヒロトさんがクッションを横から奪い取って、耳を鷲掴みにするから、


「ああ、それか。 ユリさんの置き土産だよ」


と言って可哀想な目を向けてた。


「あー、そういえば持ち込んでたね。 気づくと変なアニマルグッズ増えてたし」


「その悪い顔したウサギはルナらしいよ。 ちなみに兄貴は・・・あそこに転がってる眠そうな顔した白猫だって」


僕とユウタさんがヒロトさんを笑いながら見ると、ヒロトさんは、


「どこが?」


って眉間に皺を寄せてケーキを頬張り、ふいっと顔を逸らして髪の毛をくしゃっと掻き上げた。


「一応、少しは整理したんだけどね」


よく見れば気付く程度に、部屋のあちこちを飾っている数々のアニマルグッズ。

それのひとつを染谷さんが持ち込んだときのやりとりを、ぼんやりと思い出した。