『正義は涙の数だけあるけど、根っこのところは変わらないんじゃないかって』
「・・・・・・・」
『誰しも、守りたいものがある。 大切なものを最後まで守り抜こうとした結果が、その人の正義だ』
「ったく、こっちが大人しく聞いてりゃゴチャゴチャゴチャゴチャうるせぇなぁ・・・」
『キャラ崩壊してるよ』
「・・・さあ、ユリさん。 正義と正義のやり取りをしようぜ。どちらが最強か!」
お互いに黙り込むと、辺りには静寂が満ちた。
時計の針が時を刻む音だけが響く。
気を抜けば気絶しそうだ。
いつでも銃を抜けるように、私も全神経を手に集中させる。
そして。
時計の針がカチリと音を立てた。
ーーーーバンッ!
「『・・・っ』」
2つの発砲音が、微妙にずれて重なる。
「・・・いい腕してますね、クソ偽善女」
『ハッハッー! いい腕してると言いながらクソ偽善女呼ばわりとは酷いなルナさん』
「君がこっちの人間だったら、もう少し楽しめたかもしれませんね」
『ありがとう。 でも、私の事は尊敬と敬意と敗北感を込めて“ユリお姉様”と呼びなさい』
ルナさんの持っていた拳銃が弾き飛ばされて、遠くに転がっているのが見えた。
同時に、私が膝をつく。
「ユリさん!」
腕を押さえる私に駆け寄ると、シャツから滲み出た血を見て顔を青くするルナさん。
「早く処置を・・・!」
『ふふ、かすり傷だから大丈夫だよ』
「ダメです!」
ルナさんはポケットからハンカチを取り出すと、私の傷口に巻いた。
私はカラコロと歌うような笑い声を上げる。
流石に少しムッとしたらしく、涙目の堕天使ウサギは拗ねたように頬を膨らませている。
が。
確かに私の言う通り、かすり傷だとわかってホッとしたような顔を覗かせた。
