その様子は可哀想だったけれどなにか気になることがあるのなら、ちゃんと話してほしかった。


「知樹が隠していることってもしかして、今回のことに関係してる?」


「それは……」


そこまで言い、途中で口を閉じてしまった。


相当言いにくいことなのだろう。


あたしは壁にかけられている白い時計を確認した。


あと数分で次の授業が始まってしまう。


だけどあたしたちはまだ体操着のままだった。


保険の先生もしばらくは戻ってこないみたいだし、次の授業に出る気はすでに失っていた。


「なにか隠してることがあるなら、ちゃんと話してほしい」


あたしは知樹の腕を掴んで言った。


「実は……」


知樹がゴクリと唾を飲み込む音がこちらまで聞こえて来た。


緊張している様子だ。


それでも知樹は勇気を振り絞り、再び口を開いた。