「くそ! どうなってんだよ!」


直弘が青ざめ、焦った様子で美奈の背中を叩きだした。


喉の奥の髪の毛を吐き出させようとしているのだ。


「そうだね、全部吐きだすのがいいと思う。美奈、苦しいけど吐ける?」


美奈は何度か頷き、自分の口に指を入れた。


トイレに向かっているような暇もなく、その場に吐く。


「ちょっとしか水を飲んでないのに、なんでこんなことになるの……」


あたしは美奈を見ていて涙が滲んで来た。


水道から髪の毛や緑の水が出て来たなら、すぐに飲むのをやめるはずだ。


美奈が自分からこの量の髪の毛を飲み込んだなんて考えられなかった。


その間、知樹は青ざめた顔でずっと立ち尽くしていたのだった。