「実はあたし、昨日気になったことがあったんだよね」


2人で校内を歩きながら言った。


「気になったことって?」


「池で見たあの手。藻がからまっててはっきりとは見えなかったけど、なにか光る物が見た気がするの」


「光る物……?」


「そう。指輪……だったのかなぁ?」


あたしは昨日の光景を思い出しながら呟く。


指に光るものと言えば、指輪を思い浮かべるのは自然なことだった。


「見間違いじゃないか? 藻にゴミでも絡み付いてたんだろ」


「そうかもしれないけど……」


ハッキリと見たワケじゃないから、知樹の意見が正しいかもしれない。