見ツケテ…

美奈がそう言い、池に一歩近づいた。


あたしも美奈の隣に立つ。


そして4人で手を合わせた……その瞬間だった。


ザバッ! と大きな水音が聞こえて来たかと思って目を開けると、水面から手が伸びているのが見えたのだ。


手は腐敗し、肉が溶けて黒ずんでいる。


「ヒィィ!!」


それが誰の悲鳴かわからなかった。


手は細く長く、藻が絡まって腐臭を漂わせている。


それはあたしたちめがけて大きく移動し、そして美奈の足首を掴んだのだ。


「キャアアア!!」


美奈が耳をつんざく悲鳴を上げる。


同時に直弘が腐敗した手を思いっきり踏みつけていた。


手は美奈の足首を離し、スルスルと池の中へ戻って行く。


「逃げろ!!」


知樹が叫び、あたしたちは同時にその場から駆け出したのだった。