直弘が青ざめ、後ずさりをして呟く。


「見て! あそこ!」


なにかに気が付いたのか、美奈が池の中央付近を指さした。


そこへ視線を向けてみると、ボコボコと泡立っているのがわかった。


水中になにか生き物がいるかのように泡が溢れだしている。


その瞬間だった。


あの声があたしたちの耳に聞こえて来たのだ。


アアアアアアアアア!!


赤ちゃんの泣き声か、悲鳴かわからないような声。


あたしたちは咄嗟に両耳を塞いでいた。


そんな中、直弘がスマホを取り出して池を写真におさめはじめたのだ。


「ちょっと直弘、こんなときにやめなよ」


美奈がそう言うと、直弘は素直にスマホをしまった。


すでに何枚か撮影したから、後から確認してみるつもりなんだろう。