「夢で聞いたあの泣き声と、初めてここに来たときに聞いた声がそっくりだった」


「この貯水池に落ちた赤ん坊がいるかもしれないってこと?」


「断言はできないけど、そうかもしれないよね」


美奈の言葉にあたしは答える。


「もし赤ん坊がここにいて供養されていないのだとしたら、その赤ん坊を供養してあげればいいけれど……」


全く赤の他人のあたしたちに供養されて、安らかに眠れるだろうか?


そんな疑問が残ってしまう。


どうすればいいだろう?


再び思考回路が振出へ戻ったときだった。


風もないのに突然水面に波が立ったのだ。


驚いたあたしたちはその場に棒立ちになってしまった。


ジッと水面を見つめていると、波は次第に強くなり始めた。


「なんだよこれ……」