さっきまでの幸せな気分は掻き消えて、一刻も早く家に戻りたいという気持ちになる。


玄関先まで来たところで、不意に脳裏によみがえってくる集合写真。


あの写真にはたしかに人の顔が浮かんで見えた。


光の反射だということで話は終わったけれど……。


玄関の手前で立ちどまり、あたしはスマホを取り出した。


恐る恐る写真を表示させてみる。


どうか、見間違いでありますように……。


そんな念を込めてみたけれど、全く無意味なことだった。


画面上に表示されたスマホには、しっかりと顔が映りこんでいる。


それを見た瞬間、また背筋が寒くなった。


今度はしっかりと、細くて氷のように冷たい手に触れられた気がした。


「ヒャア!?」


あたしはなさけない悲鳴を上げて玄関に入ったのだった。