☆☆☆

それから1時間ほどサッカー部の練習を見学したあたしは1人で帰路を歩いていた。


街はオレンジ色の染まり始めていて、あと1時間もすれば暗くなってしまいそうだ。


サッカー部のみんなは完全に真っ暗になってしまってから帰るのだろう。


同じ高校生なのに随分違っていてため息が出てしまう。


部活もバイトもしていない自分に、このままでいいんだろうかと疑問を感じてしまうくらいだ。


あたしもなにかはじめようかな。


そんなことを考えて歩いていた時だった。


家が見え始めた瞬間、ゾクリと背中に寒気が走って足を止めていた。


まるで、背中を冷たい指で撫でられたような不快感。


あたしは薄暗い街を見回して、そこになにかがいないか確認した。


しかし、なにもいない。


「気のせい気のせい」


声に出して言い、なにかから逃げるように大股に歩き出す。