「スマホで妙な顔を見て、その後ここへ来たんだ。俺たちみんなホラー好きだし、なにかいるかもしれないって気持ちは持ってただろ」


知樹が早口に説明する。


まるで、勘違いであってほしいと願っているようにも見えた。


「そうだね。そうじゃないと、家の人たちが誰も出てこないなんておかしいもんね」


あたしはすぐに同意した。


背中には冷や汗が流れ出していて、一刻も早くここから立ち去りたい気分だった。


「もう、行こうよ」


美奈の頼りない声がして、あたしたちは池から離れたのだった。