水でブヨブヨに膨らんだ友江さんの手には、あの指輪が光っている。


しかしその光景も、すぐにビニールシートに隠されて見えなくなってしまった。


友江さんはようやく館下先生と会うことができて、今なにをしているだろうか?


嬉しがっているか、それとも生前の憎しみをぶつけているかもしれない。


いずれにしても、館下先生にはそれなりの苦しみを味わってほしかった。


「美奈、美奈は!?」


直弘が捜索隊にすがりついている。


「今探しています。ですが、小さな池ですから、すでに池から脱出している可能性もあります」


捜索隊の言葉にあたしと知樹は顔を見合わせた。


美奈が池から出てきていれば、あたしたちが気が付いたはずだ。


「お願いです! 美奈を助けてください!」


直弘の悲痛な悲鳴が、いつまでも聞こえてきていたのだった。