突然の事で美奈は対応できなかった。


美奈の体はグラリと揺れ、そのまま池の中へと落下して行く。


「美奈!」


一番近くにいたあたしが手を伸ばしても、遅かった。


美奈は大きく目を見開いた表情のまま、水しぶきを上げて姿を消していたのだ。


「美奈!!」


直弘が駆け寄り、膝をついて水面を確認する。


しかし、さきほどまで揺らいでいた水面は嘘のように静かになり、友江さんの手も気が付けば消えていたのだった……。