ハッと息を飲んだ次の瞬間、貯水池が目の前にあった。


知樹や美奈の姿もすぐ近くにあるが、みんな唖然とした表情を浮かべている。


「あ……今のが……?」


あたしは今見た映像を思い出し、ゆっくりと館下先生を見た。


館下先生は少しだけ青ざめているが、いつもと変わらない様子だ。


「あぁ。実際にあった出来事だ」


館下先生が舌打ちと同時に答えた。


ここに立っているだけで、館下先生と友江さんのやりとりがすべて見えたのだ。


それはほんの一瞬の出来事だったのに、随分長い時間見ていたような感覚だった。


そのくらい、友江さんの気持ちがこの場に残っているということなんだろう。


あたしは貯水池へ視線を戻した。


あたしたちの憶測通り、この池には2人の死体があったんだ……。


しかも、館下先生みたいな卑劣な人間によって殺された!


そう思うと、胸が痛くて仕方なかった。


なにもかも自分の都合で動いて、身勝手なことばかりして、あげくの果て自分のために誰かを殺してしまうなんて……!


今すぐ、館下先生をこの池に突き落としてしまいたかった。