俺は友江の体を肩に担ぎ、音を立てないようそっと外へ出た。


誰か1人でも民家から姿を見せたらそれで終わりだ。


そう思うと気持ちが焦り、何度もつまづいてこけそうになった。


たった数十秒の距離が、永遠のように長く感じられる。


貯水池の前まで来たとき俺は全身に汗をかいていた。


その後、俺は友江の体を地面に横たえると、水音が立たないよう、そっと水面へ転がした。


チャポン……。


人間1人が池に落ちたのに、それは小さな、あっけない水音だった。


俺が細心の注意を払っていたからだった。


全てを終えた俺は、友江の家にいた形跡をすべて消し、そして自宅へと戻ったのだった……。