「部活が休みの日って、顧問の館下（ﾀﾃｼﾀ）先生ってどうしてるの？」


美奈が来るまで間を持たせるため、あたしは知樹に質問をした。


「館下先生は、たぶん奥さんと出かけたりしてると思うよ。去年結婚したばっかりなんだってさ」


「へぇ！　そうなんだ！」


サッカー部専属の館下先生と一般の生徒の関わりは極端に少ないため、そう言う情報も初耳だった。


時々、こっそり知樹の練習を見にグラウンドへ出た時、見かける経度だった。


「30代前半で新婚さんかぁ、いいなぁ」


あたしは思わず呟く。


自分のそのくらいの頃に結婚できればいいなぁと、夢見ていた。


20代の間に色々な世界を見て、自分のスキルも上げて、その後ゆっくりと結婚できれば幸せだ。


たとえば知樹と結婚できたら……なんて妄想が膨らんで行きそうになったとき、美奈が走ってやってくるのが見えた。


昨日買ったブルーのワンピースを着て、小ぶりな白いバッグと白いミュールを合わせている。


「ごめんみんな！」


息を切らしてコンビニの駐車場へと入って来る。