見ツケテ…

サッカー部の顧問としては優秀だった館下先生。


その館下先生の卑劣極まりない顔を見ているのだから。


「口論になった」


館下先生が簡潔に答えた。


恋人だった友江さんと、館下先生は口論になった。


その、後は……?


聞かなければならないけれど、誰も何も言えなかった。


次の言葉を聞いてしまうと、館下先生の罪が決定的になってしまう。


それを知ることが恐ろしいと感じている自分がいた。


聞かなければ、供養しなければなにも終わらないのに……。


「その……後は?」


掠れた声で知樹が言った。


知らず知らず、あたしは自分の体を抱きしめていた。


まだなにも聞いていないのに、涙が滲んできて目の奥が熱かった。