見ツケテ…

「しらばっくれるなよ。あんた、俺の背中を押して階段から突き落としただろ。俺の制服を警察に提出すれば、あんたの指紋が出て来るはずだ」


直弘の言葉に館下先生が黙り込んだ。


「あの池でなにがあったのか、正直に話せば黙っててやる」


直弘が更に畳みかけた。


「そんなこと、お前らになんの関係がある」


「大有りなんだよ!」


直弘が先生を押さえつけていた手を握り拳に変えた。


「館下先生、俺は館下先生にサッカーを教えてもらえて本当に幸せだった。だから乱暴なことはしたくない」


直弘を制止するように、知樹が言う。


館下先生が大きく息を吐き出すのがわかった。


「わかった。わかったから話せ」


館下先生に言われ、知樹は大人しく身を離した。


しかし、直弘は館下先生の片手をギュッと握りしめて離さなかった。