見ツケテ…

それから30分ほど、あたしたちは先生の車の陰に座り、身を隠していた。


こんなことをしていて本当に館下先生を捕まえられるかどうか、不安はぬぐいきれない。


もしかしたら、館下先生はすでにあたしたちがここにいると気が付き、他の方法で帰ってしまっているかもしれないのだ。


「館下先生がすべてを認めて、ちゃんと供養したら全部が終るのかな……」


あたしの隣でしゃがみ込んでいた美奈が呟くように言った。


「きっと、全部終わるよ」


今はそう信じて動くしかなかった。


「もしも、ずっと続いて行ったらどうする?」


「なんでそんなこと言うんだよ」


直弘が美奈の手を握りしめた。


「だって……」


美奈はそこまで言って口を閉じた。


あたしは美奈の不安が痛いほどよく理解できた。


昨日あんな悪夢を見ているため、あたしたちは逃れることができないんじゃないかと、心のどこかで感じているのだ。