見ツケテ…

「とりあえず、先生の車があるかどうか確認してみよう」


知樹の提案により、あたしたちは一度学校の外へ出て、職員用の駐車場へ向かう事になった。


駐車場は学校と隣接して設置されていて、かなりの広さがある。


「館下先生はどんな車に乗ってるの?」


「青い普通車だ」


あたしの質問に、知樹が答えた。


サッカー部が他校と練習試合をするとき、館下先生はその車で移動しているらしい。


「あった!」


広い駐車場を隅から念入りに確認していたとき、知樹が声を上げた。


そこには確かにブルーの普通車が停まっている。


ミラーにぶら下げられている芳香剤は、サッカーボールの形をしていた。


車内には誰の姿もない。


「やっぱり、学校内にいるんだ」


あたしは校舎へ視線を向ける。


「だけど、館下先生を捕まえることができるかわからないよね」


美奈が不安そうな顔で言った。


「大丈夫。車があるってことは、必ずここに戻って来るってことだ」


知樹がそう言い、館下先生の車を睨み付けたのだった。