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「まず、俺たちは館下先生に狙われています」


知樹の言葉に、保険の先生は目を見開いて「館下先生に?」と、聞き返した。


「そうです」


「館下先生がなにかしている姿を、あなたたちは見たの?」


保険の先生が警戒しているのがわかった。


生徒同士の話ならもっと話しやすかったかもしれないが、相手は先生だ。


慎重になって当然のことだった。


「いいえ、見ていません」


知樹はしっかりと言い切って、左右に首を振った。


「じゃあ、そう思った理由はなに?」


絶対に聞かれることだと思っていた。


知樹は一旦呼吸を整えて、あたしたちを確認した。


あたしは大きく頷く。


ここまで来たら、言ってしまった方が楽だ。


「信じてもらえないかもしれないけど、実は俺たち……」