それを察したのか、知樹はゆっくりと左右に首を振った。


「ダメだった。やっぱり、かなり体力がある人間だと思う」


その言葉だけで犯人が館下先生である可能性が高まった。


「それ、どういうこと? 詳しく話して欲しいんだけど」


保険の先生が知樹へ詰め寄る。


知樹がゆっくりと保健室の中央へ移動した。


「もう、俺たちだけじゃどうにもならない。やっぱり、ちゃんと伝えるべきだと思う」


知樹の言葉に、あたしたちは何も言わなかった。


信じてもらえる可能性は低いけれど、少しでも、せめて館下先生の凶行だけでも止めることができればよかった。


「話してくれるわね?」


保険の先生にそう言われ、あたしたちは頷いたのだった。