見ツケテ…

両親はあたしを見下ろしてほほ笑んでいる。


そして……「一緒にいくから、大丈夫よ」そう言うと、いつの間にか持っていた包丁を自分の首元へ押し当てたのだ。


ニコニコと笑顔を浮かべたまま、母親は自分の首を掻っ切った。


パックリと割れた傷口は太い血管が切れてしまったようで、一瞬にして噴水のように血が噴き出す。


まだ暖かいそれはあたしの体にも降り注いだ。


血を流しながらも母親はあたしを見下ろしてほほ笑んでいた。


「今度はお父さんの番かな」


父親はそう言い、母親の持っていた包丁を握りしめた。


いやだ……やめて!


そう思うのに、言葉は少しも出てきてくれなかった。


父親は大きく目を見開いてあたしを見つめた。


まるで、最期の瞬間まで目を逸らすなと言われているような気分になった。


そして父親は、母親と同じよう躊躇なく自分の首を思いっきり掻っ切ったのだ。